◇観測手（かんそくしゅ）

　異界に棲む種。<跳びまわるもの>。呼称通り、かなりの俊足で身軽に跳び回る。

　声にまつわること（話すこと、歌うこと）に特化している。

　人間の可聴域外で、特殊な言語によりコミュニケーションをとる。

　一度聞いた言葉や声を、「言語である」「自分と対話を試みている」と認識・理解することで獲得可能。<調律>によって人間の可聴域内、かつその人物の言語圏の語彙・話法を習得し、再現する。

　無文字社会のため、文字を書くこと、読むことはできない。

　鼓笛隊のような帽子にマントを纏った姿をしている。性格は異なるが、その在り方故にどの個体も歌を好む。

◇<弓>

　観測手と共生関係にある、異界の飛翔生命体。形状や性格は異なるが、すべての個体が視界を持たない。高速で空を飛び回り、高火力の光線を放つため、観測手から移動手段、攻撃手段として用いられる。観測手の<歌>や声を餌としており、それを導として対象を撃破する。

◇<歌>

　観測手が用いる、契約した<弓>とのコミュニケーションツール。腹腔内を振動させ<弓>への指示を発生させる。契約した<弓>にしか届かない旋律。

◇歌

　声帯を用いて紡ぐ音の波。<弓>のおやつ。基本は人間の可聴域外だが、ハルジスタとオルグラルドは紗奈のためにあえて聴こえるようにしている。

◇<調律>

　自身の言語を相手の言語に翻訳し、可聴域を合わせること。

◇令唱（れいしょう）

　<歌>を唱えること。

◇唱域（しょういき）

　観測手の<歌>が<弓>へと届く範囲。

◇躬位（きゅうい）

　<弓>に伝えるべき観測手の位置情報。正しく伝えなければ、<弓>が観測手を捉えられず、はぐれてしまう可能性がある。

◇言聚記憶（げんしゅうきおく）

　観測手が過去に蓄積した言語や歌。それに付随する記憶。

◇空坑（くうこう）

　ハルジスタが異界から現世に落下した際に通った路。こちらとあちらの繋目。境目。

◇青く跳ぶ男

　現世の都市伝説の一つ。青く光る体を持ち、異常な脚力で信号を壊し、そのままビルへ飛び移ったという目撃証言により広まった。