今年の2月か3月発行予定の「わくらば 浮苑八刻稿 壱」の収録予定作品を書き終えたので、いつもの(所感)いくぞー!
ちなみに、今は誤字が多すぎるので、これから加筆修正していくつもりです。
①絡繰迷宮雲隠れ
■モチーフ・元ネタ
忍者屋敷・語感だけ「東海道中膝栗毛」
完全に語感だけです。わくらば世界には素破(忍者)がいるのか……? と思いながらも書いてしまいました。
苦手なものを前に死にそうになってるワクラバが書きたかっただけな気もしますが……。
奴は猿と絡繰が嫌いです。
結構わちゃわちゃしているので好きな話です。絡繰仕掛けをいかにテンポ良く作動させるかばっかり考えてましたし、仕掛けを考えるのにえらい時間が掛かっていました。大玉は絶対に出したかったけど、どう振り切るかを考えていなかったので頭を抱えた。誤魔化してますねえ。
忍者屋敷に大玉はないのでは、と突っ込まれたら、なんにも言えないです。
今回のモブの名前は「源蔵」
元ネタは平賀源内ですね。
平賀源内+秘蔵→「源蔵」
そんな感じです。
果たしてラストの漬物は本物の漬物なのか、誰かさんのなれの果てなのか。
百鬼歯がたくさん喋ってくれたので嬉しいです。
壱巻では今作が唯一台詞のある話になります。もっと出してあげたかったんですが、呆れて鞘に帰ってしまいました。
名もなき八百屋の店主も元気が良くて好きです。
②邂逅記 鶴の章
■モチーフ・元ネタ
鶴女房・シンデレラ
昔話といえば鶴女房! 童話といえばシンデレラ!
そんな組み合わせです。
あと人間を助けて鶴が来るっていう逆★鶴の恩返しがしたかった。
今回のモブの名前は「夕顔」と「絢悟」
「夕顔」は花のように可憐なキャラ、というイメージだったのと、夕顔の花言葉が「夜の思い出」「魅惑の人」らしいので、採用しました。
「絢悟」は鶴の恩返しと言えば機織りでしょう! ということで織物の模様である「絢」に、「運命の相手に気づく」という意味の「悟」を合体させました。ケンゴと読むのですが、ふりがな無しだとまず読めないですね。
絢悟は正直なところ肯定的に書いてはならないと思ったのですが、だからといって否定ばっかりするのもなあ、と色々考えた結果突き放した書き方になってしまいました。ここの感じ方は人それぞれですね。
でも、彼は夕顔の人の姿・鶴の姿、どちらにも同じ反応をするので、本気で夕顔を好いてます。
本気は別に免罪符にはならないのですが、本人同士は幸せそうなので、まあ、いいでしょう。幸せならオーケーです。
ラストのワクラバとタキも、せっかく恋物語なんだから、恋愛感情はないけどいちゃいちゃしといてくれっていう、その、うん。
そういうことです。
シンデレラって言いましたが絢悟がシンデレラのポジションです。夕顔は王子様。
それでいくと、冒頭の卑劣漢が意地悪な継母と姉で、タキが魔法使いで、ワクラバがカボチャの馬車ということになる。
どういう配役??
③悪太郎妖獣戯画
■モチーフ・元ネタ
神絵師・鳥獣戯画・一休さん
一休さんに、屏風から虎を出せーみたいな話ありますよね。あれ好きで、わくらばでやりました。
あと、そいつがルパンだ! これもやりたかった。詰め込みゃいいってもんじゃねえぞ。
神絵師ってネット上でわりと聞く言葉なので、わくらばにもせっかくだし出しとくか! ってノリで出しました。
今回のモブの名前は「篭円」と「黒甜号」
「篭円」は長沢蘆雪+円山応挙が元ネタです。
また、「魂(丸=円)を込(篭)める」という意味もあります。
「黒甜号」は名前の元ネタはありませんが、(昼寝(黒甜)ばっかりする犬という意味です)
長沢蘆雪が描いた犬の絵が元ネタです。あのゆるゆるな可愛らしい犬、是非見てください。
もう一つの虎(縞模様の巨大な猫の妖畏擬き)の絵も、長沢蘆雪の絵が元ネタです。あれ好きです。
そもそも、妖畏は性別もなく交尾もせず群れない生き物なので、番なんて作らないんですが、それを指摘してしまうと
「てめえ、現実以外は描くなって言いてえのかよ!?」
と、篭円が怒りそうです。好きなものを好きなように描くのが楽しい。
総山がポンポン突っ込んでくれてました。優しい。助かる。
黒甜号は総山を子分だと思ってます。「おれです」「さあ撫でなさい」「膝を貸しなさい」「ついてきなさい」って感じでした。
サイズはバレーボールくらいです。可愛い。
なんでかはよくわからないんですけど、結構お気に入りの話です。
④邂逅記 河童の章
■モチーフ・元ネタ
河童伝説
莫迦丸出しの話です。なあにこれ。
「すももだと思いました」って言わせたかっただけです。
河童は河童なので名前は無しです。
わくらば世界の夏も暑いです。ワクラバとタキの頭が茹で茹でになってました。河童はあれが通常運転です。
水中戦では最強なんじゃないでしょうか。ワクラバの後頭部を見事に打ち抜きました。
返り討ちに遭ってましたが……。
わりとなんかいい感じの終わり方なの腹立ちます。
ハートフル・河童ストーリー。
茶番が過ぎる。
⑤無一文冥土話譚
■モチーフ・元ネタ
メイド喫茶
やろうぜ! わくらばでメイド喫茶を!
そんな文化祭みたいなノリで書きました。楽しかった。
三人称ではあるんですが、ワクラバ視点とタキ視点がころころ変わる感じにしたので、個人的には書いてて飽きなかったです。
タキは別に美人キャラじゃないんですが、せっかくなのであざとくしました。
今回のモブの名前は「冠禄」
名前の由来は「トリカブト(鶏冠に似ている)」+「賜り物」です。
あと、トリカブトの花言葉が「わたしに死を与えた」らしいのと、実際トリカブトの毒は死ぬので、冥土に心を撃ち抜かれた者、死に誘われた者って意味で採用しました。
普通にクソ野郎ですが、わくらば世界ではかなり顔が良いキャラです。作画コスト・木林の技量的問題で描きたくない。
ワクラバがかなりツッコミしてましたが、最終的にボケに回って滅茶苦茶やってましたね。
やりたい放題の男。
狐拳の話。冠禄はワクラバが腕を上げたので、猟師を出す! と思って庄屋を選んだんですが、ワクラバは猟師ではなくただの暴力的な男でした。庄屋を出してるので顔面を守れませんでした。両手がお膝状態。
店主は眼鏡の理知的な見た目の男性です。中身はそうでもないです。
眼鏡+年上の男+雇い主という属性なので、ワクラバは大人しく従ってましたね。本人無自覚です。
問. これは暁國ですか?
答. 眼科に行ったほうがいい。
どうでもいいんですが、木林はクラシカルなメイド服が好きです。
⑥邂逅記 鯉の章
■モチーフ・元ネタ
鯉のぼり(鯉の滝登り・登竜門)
本当に大変でした。書くのに一ヶ月くらいかかってました。書きにくくて仕方がなかった。
理由は「説教臭すぎるから」なんですけど、どうですかね。ほどほどになってくれましたかね。
総山は鯉のぼりが似合うな~と思って書き始めたんですが、ここまで苦しむとは思わなかった。
鯉は書いてて楽しかったです。口調の個性が強いキャラなのでね。
鯉の煮付けって美味しいんでしょうか。食べたことがなく、想像ができないです。
今回のモブの名前は「建兵衛」
元ネタは「建速須佐之男命」つまりはスサノオです。
鯉が龍(水神)の稚魚であるため、そういう……水神っぽい奴?(八岐大蛇)退治の英雄の名前をお借りしました。
酒も持たせようか悩みましたが、飲ませるの忘れた。というか総山が飲んでた。
あと建速須佐之男命は川上に行って櫛名田比売に会っているので、ちょうどいいかなと。川上というか山登り。
日本書紀は大昔に論文書くために読んだので完全にうろ覚えです。ええんや。雰囲気や。
木林は雰囲気でわくらばを書いている。
今作は茶番感が薄く、怖い話だと思ってます。
あのままずっと笠天滝にいたら綺麗なジャイアンみたいになります。
早く帰ったほうがいい。神の領域です。
神絵師の話と今回の神様の話で、神あるところに総山あり、って感じになってますね。
次回はどうなるんでしょう。
⑦旅籠屋四夜怪談
■モチーフ・元ネタ
四谷怪談
お岩も伊右衛門も出てきませんが……。
なんと、モブが四人(と、一言だけ残していった女将)も出ます。勘弁してくれって感じです。
しかも、四日間の話です。勘弁してくれって感じです。
後のことなにも考えずにタイトルから決めてしまうと、こうやって苦しむんですよね。
本当にうるさくてしょうがない話でした。ホラーってこんなテンションで良いんですか?
モブは全員ネームレスです。
人間の男、一反木綿の雄、雲外強の雌、鎌鼬の雄。全員うるせえ。最悪な混声合唱団。
「名前を付けるのか……この四人に……」という気持ちがでかすぎたので、名前は付けませんでした。
あと、四人も名前付けちゃうと誰がどれか訳わからなくなりそうだったので、全員種族名で呼んでます。
名前なくて本当に良かったです。
今回はギミックがあるので、二週目読んでいただくとおや……?ってなるかもです。どうだろう。
上手くいってると良いんですが。
あの旅籠屋は完全にアウトなので、入っただけでみんなデバフが掛かります。
妖怪は幽霊の呪いとかには割と耐性があるんですが、人には効果絶大でした。
ワクラバの心労が過多でしたね。でも一番の被害者はタキです。ごめん。甘いもの食べて欲しい。
あと、ネタバレですがダブルミーニングです。